自分で出来る調整 [フルート管理]
私もかなり経験を積んだつもりですが難しいものです。
全タンポ交換となれば素人は無理。
これらは大きなリスクも伴うことも書いております。
ただ、
調整は「音出し」がある程度確実な人でないと困難ではあります。
楽器の調子を正しく知るためには当然レベルが上でないと無理でしょう。
「F」の音の出が悪いとします。
これは前記事にも書いておりますね。
もう一度写真を載せて解説してみます。「F」の鳴りが悪い場合、
(1)Fキーそのものの調整
(2)F#キーの調整
(3)A2キーの調整
これが必要でしたね。
実はもう一つあるのです。
フルートは息の通る関係上先に息が通るキーの調子が悪ければ以下のキーはすべてちゃんと鳴りません。
これはみなさんご存知でしょう。
ところがその関係だけでは無いのです。
中音の「F」とか「E」の音はフルートの構造上もともと鳴りが弱いのです。
ということは「G」はそれらに比較して鳴りはいいわけです。
「G」をもう少し調整すべき、と判断できるかどうか。
すなわちこの調整が悪いと「F」が悪くなるのは当然ですよね。
やっぱり調整も熟練しないと完璧にはできませんね。
よけいに調整が悪くなるのは確実です。
楽器店に調整を出すとき、(どうせお金を出して調整してもらう)そんなときに練習してみてはいかがでしょうか。
この楽器は裏に「D」の調整ネジが付いています。
「Dネジ」、「Eネジ」とも「F#」との関係を調整するものです。
Eメカが付いていない楽器は「G」のネジはありません。
私はマイナスドライバを4本そろえています。
緑丸は細い方二本です。
だいたいこれで出来ます。
右の太い方はタンポネジを回したりキーの心棒を回したりします。
上の楽器は「F」にあるネジが隠れています。
このネジを回すと「F#」と「F」の関係が調整できますね。
だからプラスのドライバは要らないわけですね。
マイナスだからはっきりとネジの位置がわかるのですね。
もう少し右とか、もう少し左に、とかがわかるのです。
でもこれは真似をしないでくださいね。
リスクを覚悟すべきです。
それは「全タンポ交換」記事に載せております。
大きなリスクを伴うかもしれないことも書いておりますが興味のある方は覗いてみてください。
これらもまた別の機会があれば書いてみますね。
間接タンポ調整 [フルート管理]
指を押さえたとき押さえたタンポ以外も作動するタンポ状態を間接と言います。
下はフルートを知っている方には当然の図です。
(図はサイトからお借りしました)
なお、青線は間接に作動させるための代え指みたいなものですね。
そんなところだけを書いてみます。
G2キーとは便宜上です。
一番上の図の緑線、「Abキー(Eメカ用)」と書いているキーですね。
「G」の音を出すとき、その右隣りの「G1」キーだけを押しますがG2キーもちゃんと閉じてこそ「G」の音になります。
上の楽器はEメカ付きなので高音の「E」を出すときに作動します。
「G」はちゃんと出せてもこのEキーを押してG2キーが異常状態なら高音「E」は正しく鳴りませんね。
この場合は一番上の図の「Eメカウデ」を調整します。
これの判断が難しいですね。
G2キーがEキーを圧迫するときがあるのです。
G2キーがしっかりと閉じているけど肝心のEキーが浮いている・・・・
これに気付きにくいのですね。
当然「E」の音が出にくくなります。
調整の仕方はEのタンポを外して調整紙などを入れて浮かないようにします。
しかしそれで終わりません。
Eキーを調整したためF#キーに狂いが生じます。
この関係は後述する「ネジ調整」になります。
なかなかやっかいですよね。
上のすべてが正常でなければどの音も正常な音になりません。
緑のキーが間接的に動くのはおわかりですね。
A2キーと言うのも便宜上です。
一番上の図の「Bbキー」にあたります。
これは後でAisレバーとしてもう一度書きます。
実際は「A#かBb」の音を出す間接的に動くキーでもありますが単に「A」を出すときにも間接的に閉じます。
これの原因は3つあります。
Fキーを押したとき、
(1)F#キーが浮いた状態
(2)F#キーはしっかり閉じているのにFキーが浮いた状態。
(3)A2キーがしっかり閉じているけどFキーが浮いた状態。
この(3)が気付きにくいですね。
遠くにありますからね。
このバランスが悪ければそれを直すためにA1キーまで調整をし直す場合もありますから。
一番上の図の青線を少し。
これは「Bb(A#)」の音を間接的に出すキーです。
もちろん上に書いたFキーを押すことでもその音になりますね。
上で書いた便宜上のA2キーが作動します。
これ自体の調整は全くありません。
A2キーのタンポさえ正常であれば必ず鳴ります。
このキーを使う人は少ないらしいですが私は積極的に使いますよ。
だって必ず鳴る間接キーですから。
バランス調整の難しいFキーで鳴らす人が多いようですけどね。
「A#」は別としてフラット記号が多い調では左手親指で必ず押さえているでしょう。
ただ、突然ナチュラルな「B(H)」の音を出すとき、親指をずらすような使い方になるのはお勧めできませんけどね。
それを押すと裏側になるA2キーが閉じます。
ここも「A」の音が正常に鳴っていてもちゃんと閉じないことがあります。
そのときは赤丸のところを調整します。
貼ってあるコルクやフェルトが外れているときもあります。
私は薄いフェルトを切って貼り付けたりします。
でもここは下手に自分で触らない限り大体はいつも正常です。
タンポ自体に調整紙を加えたり調整ネジを触ったりするわけです。
長くなったのでそれは次回にしましょう。
直接タンポ調整 [フルート管理]
一方間接タンポとは押さえるキー以外に動くタンポのことです。
きつく押さえると状態がわかりにくいです。
しかし長く使っているうちにタンポが変形し、隙間がでることもあります。
その隙間を埋めることによって調整ができます。
素人ではなかなか難しい調整ですが練習次第で出来るようになると思います。
見方のポイントは軽く抑えること。
私は少しずつ押さえていき、全体の隙間の大きさが平均して縮まるのを確認するようにしています。
奥の方が隙間が大きい場合はしっかり締めてきっちり押さえられているように見えても小さな隙間が出来ている場合が多いからです。
手前は確認しやすいですが奥は難しいのでしっかり見てください。
これも素人では調整が難しいです。
ほとんどはタンポ自体の性質の違いかと思うのですが最初のタンポを付けた時に早くなじませるために紐で縛ったりして押さえることがあります。
私はほとんど縛ってなじませます。
早くなじむ効果はありますが痛みやすい欠点もあります。
また変形すると溝が深いため隙間が見えにくく調整が難しくなります。
オーバーホールしてもらったのはもう10年前。
やっぱり上手な仕上がりですね。さすがです。
溝が浅いので痛みが少ないです。
調整も簡単に済みますね。
オーバーホールが終わった後お店で試奏しても軽く音は出ていました。
熟練した(?)私でもこんなタンポ交換は無理です(笑)
当時のオーバーホール代、7万円!
値打ちはありましたけどね。
確か8,050円で購入。
購入時は使用不能でした。
それを自分で全タンポ交換調整をして満足の出来る状態にしております。
以前にも書いていますが自分でタンポ交換するのはリスクが多いですので真似をしたい人は覚悟してくださいね。
私は過去に何本もフルートを壊してきましたから。
タンポ管理 [フルート管理]
何も私ごときが書かなくとも専門家が書いていると思うのですが私なりに書かせてください。
しかしちょっとした事なら自分で出来ますので覚えておくといいでしょう。
音出しが上達するとさらにいろいろとメンテナンスや調整が出来るようになります。
というのは吹く音が下手なときは楽器がいくら調子が良くてもちゃんと音が出ませんから楽器の調子がわかるわけはないですよね。
タンポというのは普通の状態ならけっこう長く使えます。
演奏する時間にもよるでしょうが上手に使えば10年は使えると思います。
普通の方は半年に一回ほど楽器店に調整に出すでしょうか。
その時に不良のタンポを替えてもらったり、あるいは全タンポ交換もしてもらうのですよね。
演奏も上達すると自分でタンポの寿命がわかります。
タンポの破れですよね。
破れ方にもよりますが音はちゃんと出ていても吹いているうちにだめになってきます。
絶対交換ですね。
長く使っていると変形します。
これがあると空間ができて音はちゃんと出ません。
明らかな空間は素人でもわかりますが微妙な空間は無理です。
前述したように音出しが下手な時期では自分が不調なのか楽器の不調なのかが判断できませんから。
演奏しているうちにゆるんできたりします。
するとこれも微妙な空間が出来て音が不調になります。
そしてこれも音出しが上達しないと見抜けませんね。
そういうところも次回くらいに書いてみたいです。
これがまず基本的な管理です。
終わらなくとも休憩のときでもするべきです。
管内の水分がタンポの皮を痛めるのはご存知でしょう。
どこが一番痛みやすいか知っていますか。
なぜかと言うとフルートを持ったときそれらは下側寄りになるのでそこに水が溜まるからです。
特にトリルキーが溜まりやすいので演奏時でも時々開けてみて水分を取り去ることを勧めます。
注意するのは、水分を取るために直接ガーゼなどでタンポを拭かないことです。
破れの原因になります。
もう持っておられる方も多いでしょうね。
中に二種類の用紙があります。
このネバネバを取る用紙は助かります。
タンポを長く使っていると水分が無くとも押さえるとネバネバしてきます。
この用紙にはロウが塗ってあるのでしょうか。
よく野球で投手がロジンバッグを使ってすべりを止めていますよね。
あれと似ているのでしょうか。
これを使うとタンポを押さえたときの変な音も消えますのでお勧めです。
全タンポ交換を自分で2 [フルート管理]
前回の続きです。
故あって少し遅れました。
また今後も休みがちになるかと思います。
できるだけがんばるようには致します。
さて、新しくタンポを替えてセットした後ロープでしばり、1,2日経って取り去ります。
上。くっきりと型が付いていますね。
これから一つ一つ押さえてみて隙間があるかどうか観察します。
裏からも見るようにして僅かな隙間も見逃さないようにします。下。
もちろんこれだけでは完全ではありませんが下のように一つ一つメモしておきます。
これは後に出てくるタンポ直接調整に必要です。
とりあえずはバランス調整です。
これはネジでバランスを調整します。
上。左は「A」用で、右は「G」用ですね。
少しややこしいですが、左は「F」を押さえて「A#」音を出すための調整ネジ、真ん中は「F」用、右は「E」を押さえて「F#」の音にする場合の調整ネジ。
この裏に「D」を押さえて「F#」音を調整するネジがあります。
どれも大体は右に廻すと締りがきつくなり、左に廻すと緩くなります。
長く使っているとこのネジが緩んだりしますので時々バランス調整が必要です。
次はキーとのバランスでなく、タンポ自体が穴とかみ合わない場合の調整です。
最初の方に書いたタンポ直接調整です。
もう一度。
これが一番難しいです。
上図を参考にしますが丁寧にするには穴を埋めるシリコンが必要なときもあります。
下です。
これを詰めるとタンポが完全に穴を塞いだのと同様になるので実際のタンポの状態が明確になります。
下。
上図のように左手の穴は全部シリコンで詰めます。
すると右手の「F」から「D」までの状態が吹いてみてわまります。
先ほどの隙間を記録したメモと併せるとより正確な判断が出来るわけです。
タンポの閉まり具合を直接タンポに調整するには下のような「調整紙」を使います。
すなわちタンポを外すことになります。
その際、元の位置がはっきりわかるように少しだけ印を付けます。
これは私流ですが。
下が実際の調整です。
そうです。
調整紙で隙間を埋めるわけですね。
厚さがいろいろなので色分けされた紙です。
これは熟練を要するでしょう。
うまく行かないときは何度もやり直します。
どうですか。
修理店で3万円出す値打ちがお分かりでしょう。
ところで、
このYFL-31
今完璧な鳴りをしております~
商売しようかな(笑)
全タンポ交換を自分で [フルート管理]
オークションで8050円でゲットしたYFL-31。
以前(以前の記事)も書いたとおり不具合を治し完璧な鳴りを得たのですがまた不具合を発見しました。
長く吹いていると調子が悪くなります。
この原因はほとんどがタンポです。
全部分解して様子を見たときも少し感じていました。
いかにも交換したばかりに見えましたが長く使っていなかったのか、タンポの硬化が見られました。
これにより、変形や水分の吸収の仕方の異常が起こる場合があります。
それで思い切って交換することにしました。
YFL-31用のタンポ。
ずいぶん前の楽器ですが取り寄せに成功しました。
3800円。
タンポは純正であって楽器に正しく合うものでないといけません。
お断りしますが、
決して気軽に真似をしないでくださいね。
修理店で全タンポ交換調整は3万円以上しますがそれだけの値打ちはあります。
私が出来るようになるまでにフルート二本も駄目にしています。
駄目にしてもいい楽器があれば参考にしてください。
やるからにはそれぐらいの覚悟がいりますよ。
まず分解です。
楽器にもよるでしょうがYFL-31の本体の分解手順です。
「1r」は左親指Bキーです。
これはいつでもいいです。
他はこの順序でいいと思います。
「6」はG#キーです。下。
これが一番難しいですね。
緑がそのG#キー。
ピンクがそれをはずすネジなのですが狭い上に回り(黄色)の細いバネが邪魔をします。
このバネに指を突き刺すことは何度もあり!
これだけでもお勧めできません。
上が足管部。
ピンクのネジを廻せば長いネジ棒が出てきて全てばらばらになります。
上のように分解してタンポを外すときに裏面にどの位置のタンポであったかを記載しておきます。
新しいタンポで失敗したとき再利用できるようにしておきます。
この古いタンポがまったく駄目なら不必要ですが。
注意。
タンポはタンポ止めをネジで廻して取るのですがさらに上のようにピンで丁寧に外します。
スキンが破れれば終わりですから。
上は分解途中でキーコルクが外れた写真です。
これはトリルキーの所ですがあちこちにコルクがついています。
分解していると外れることが多いです。
コルクだけでなくバネも抜けてしまうことがあります。
その場合後で差し込めば大丈夫なのですが部品はよく覚えておくことです。
失うと大変。
また分解途中でネジ棒を曲げてしまったことがあります。
この部品だけで1500円取れれました。
とにかく分解はリスクを伴います。
はい。ちゃんと用意しております。
上のように専用ボンドですぐに貼り付けておきます。
ということで上図。
分解完了し、新しいタンポを全部取り付けました。
大切なことはできるだけしわが寄らないように、しわに気をつけながら取り付けます。
本体への取り付けは分解のときと大体逆手順です。
これがやっぱり一番難しいですね。
G#キー。
バネを効かした状態にしてセットするのでなかなかうまく入りません。
これが一番最初なのは当然ですね。
さて、取り付けました。
バネも効かせて吹いてみます。
鳴りません。
はい。
たいていは鳴りません。
そんなものです。
いや、むしろここからが大切です。
上は湿らせたガーゼ。
キーとタンポの間にガーゼを入れてタンポを湿らせます。
そして上のようにヒモで縛って固定します。
はい。
全部固定しました。
これはタンポをなじませるために行いますが私流です。
タンポを湿らせること自体タンポの寿命を縮めます。
また固く縛ることも寿命を縮めます。
出来るだけやらないでタンポをなじませたいものです。
これで1,2日置いておきます。
後は次回に~